第11章 Tell Mama
携帯に着信があった。
”美穂さん”
液晶に映る文字。
「もしもし…」
『あ、翔さん?』
「あ、うん。元気?」
『元気よ。あなた一度帰ってらっしゃい』
「え?なんで」
『和也くんを探す資金を出したいって、お父様が言ってるの』
「え?」
『バカな息子を応援したいんですって』
「マジで…?」
『あなた、そんな言葉遣いしたら、お父様にぶっとばされるわよ…』
「美穂さんだって…」
『まあ、いいから。時間ができたら連絡していらっしゃい』
「はい…ありがとう…」
電話を切った。
暫く、スマホを眺めていた。
「なに?どうしたの?」
潤が不思議そうな顔で、コーヒーを啜ってる。
「なんか、父さんが…金くれるって…」
「ああ…あれ?翔のお父さんって、外務省じゃなかったっけ?」
「あ、うん…」
「コネ、使ったら?」
「え?」
「だから、エジプト行くんでしょ?」
潤まで俺のこと見透かしてる…
「外務省から派遣してもらえないの?」
「そんな簡単な話じゃねーよ…」
そう言ってソファにごろりと横になった。
ここ何年も連絡もしてこなかったくせに…
なに企んでんだか…親父…