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ROSE【気象系BL小説】

第11章 Tell Mama


「ただいま…」


いつもの癖でつい言ってしまう。


からっぽの部屋にこだまする俺の声。


『おかえりなさーい』


和也が駆け寄ってくる幻想。


「ただいま…いいこにしてたか…?」


気怠い身体をなんとかリビングまで運ぶと、ソファに倒れこんだ。


身の回りのことは雅紀が世話しにきてくれてる。


ときどき、潤や智もきてくれる。


ガオは家事ができないから、そもそもこない。


まだ筋肉の戻りきっていない身体はしんどくて、俺はまだレコーディングにいけないでいる。


時々スタジオに顔をだしたり、デモテープだけは作ってる。


早く取り戻したくて、焦ったりしたけど全然ダメで…


早くカイロに行きたかった。


和也がいる土地に。


ぎゅっと手を閉じて、また開く。


手のひらを見つめる。


和也…


また会いに来てよ。


夢のなかに…


あれから、和也の夢がみられなくなった。


夢想の中にも逃げることができない。


侘びしくて笑ってしまう。


あのまま眠っていたほうが楽だった。


目を閉じる。


そういえば、和也の写真…


まともに撮ったことがなかった。


一緒に撮っておけばよかった。
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