第10章 Cry Baby
「翔、横になったほうがいい…」
潤が俺の肩に手をかける。
「顔が真っ青だよ」
潤の両手が俺をベッドに寝かせる。
「榎本は…」
「今は、軟禁してある」
「なんで…」
「外に出したら死ぬし、警察に掴まる」
「え?警察…?」
「和也の事件が、先生のお蔭で世間にオープンになった」
「え?」
「先生はマスコミ各社に手紙を送ってたんだ。榎本の家がやったこと、警察がやったこと…」
ガオは溜息をついた。
「ついでに、あんたと和也の友情物語もぶちまけてね…」
「友情物語?」
「そう。あんたたちがそういう関係だってバレるとまずいと思ったんでしょ…あんたが和也を友情から保護したって話にすり替わってたよ」
「お蔭で俺達もテレビに出る羽目になってなぁ…めんどくさい…」
智が侑李の髪を撫でながらふてくされた。
「翔、まだ和也を探す気ある?」
ガオが真剣な目で俺を見る。
「エジプトは今まで、調査の範囲には入ってなかった。ずーっとヨーロッパばっかりだったから」
ぎゅっと拳を握ると、俺は頷いた。
「やる。可能性があるなら」
「そうこなくちゃ」