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ROSE【気象系BL小説】

第9章 Farewell Song


ドアを開けると、マジックミラーが壁一面に広がってた。


そこは狭い部屋で。


暗い部屋には剥き出しの電球が一つ灯っているだけ。


雅紀がマジックミラーに貼り付いた。


「和也っ…!」


振り返ると、マジックミラーのむこうに和也が居た。


「和也っ!」


私も思わず叫んだ。


でも…傍らに、男が一人。


榎本…!


榎本は床に寝そべって、ビンの中から出るゴムのパイプを咥えて、恍惚とした表情をしてた。


和也は膝を抱え、蹲ってる。


身動ぎ一つもしない。


「和也っ!和也っ!」


「アイツら…ここの客ね…」


黒づくめが言った。


「え…?」


「ここ、アヘン窟だよ…ガオさん…」


風間が言った。


「アヘンって…今時…」


「中国にはまだあるんだよ…こんなとこいっぱい…」


「あのおとこ、金はらえなくなった。だから、あの子売ろうとした」


黒づくめが説明する。


「あんたたちが買い取ってくれた。だからあの子、持ってっていい」


「…あの男は?」


「あの男もいらない」


こともなげに、黒づくめは言った。


「わかった…引きとるよ…」


「ガオ!」


雅紀が血相を変えた。

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