• テキストサイズ

ROSE【気象系BL小説】

第9章 Farewell Song


リムジンは上海の街の裏通りに入った。


近代的な街は、一歩路地裏に入ると、全く姿を変える。


昔ながらの中国の長屋。


それももう壊れそうな。


かと思えば、旧時代的なビル。


そこにひと気はなく、ただ、怪しい空気が流れている。


ここは立ち退き地区で、一般の住民はもう居ない。


ここに、近代的な街をつくるんだってよ。


取り壊すまでは、ヤクザが好きに取引場所に使ってる。


党の高官に金を握らせば、こんなこと朝飯前なんだそうだ。


リムジンは、その旧時代的なビルの前で止まった。


老板は、ここでお別れ。


助手席の男が、ここから案内する。


帰りはまた別の迎えがくるとのことだった。


老板と握手をして別れた。


「ありがとう。老板」


「役に立ててよかった」


そう言うと、微笑んだ。


助手席の男は黒づくめのスーツで、私達の前を歩く。


風間が封筒を渡したら、中身を確認もせずにスーツのポケットに仕舞った。


「こっち、くる」


片言の日本語で案内された。


ビルはもうぼろぼろで、中の装飾なんかはなんにもない。


剥き出しのコンクリの床を歩く。


「ここ、入る」


黒づくめが止まった。

/ 420ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp