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ROSE【気象系BL小説】

第9章 Farewell Song


歌舞伎町の裏路地にある、小さな喫茶店。


レコーディングが終わって、駆け込んだ。


小出社長が見えた。


「おう。ガオここだ」


「早かったね。ありがと」


「おう。いいさ。ま、座れ」


「あんたが…?」


「ああ、俺の知り合いの小原くんだ」


「どうも。小原裕貴と言います」


コハラは、超絶綺麗な顔をしていた。


「え…まじで?こいつが?」


「そうだよ。小原、お前も女みたいなミテクレだけど、ガオもすげーだろ?」


「ええ、テレビで拝見してびっくりしました」


そう言って、コハラはきれいに笑った。


「コハラは先月までスイスにいた」


そう小出のじじいが言うと、コハラはカバンから写真を取り出した。


「これ…ちょっと鮮明ではないんですが…」


二枚あった。


一枚は知らない男。


もう一枚は、和也が写っていた。


「これ…和也だ…!」


「やっぱりそうですか…」


「これ、どうしたんだよっ!?」


「スイスで手に入れました。でも…これは3年前の写真です…」


「なんだよ…」


観光客の団体に紛れて、和也は写っていた。


おぼろげでよくわからないけど、不安げな表情で、前を歩く男に手を引かれている。


もう一枚の写真…


「これ…」


「これは和也くんの手を引いていた男。つまり、榎本です」


コハラは言い切ると、目をきらっと光らせた。


獲物を追い詰める猛獣みたいな目。
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