第9章 Farewell Song
翔が目を覚まさなくなってから、3ヶ月が過ぎた。
毎日、顔を見にいってる。
「おはよ。翔。元気?」
そう言って枕元の花をとりかえてやる。
病院の人たちは、最初私をみてびびってたけど、最近は慣れてくれた。
差し入れにお菓子をもらうこともある。
なんで入院してるやつらって、お菓子をたくさんもってるんだろう?
病気じゃないの?
そう思ったけど、ありがたく受け取っておいた。
先生の事件をきっかけに、和也のことが表に出た。
それとともに、翔と和也の友情物語も世間に知れ渡ることとなり、私達のバンドの正体も、ばれてしまった。
最近では音楽番組に呼ばれるようになって、翔と和也以外のメンバーでテレビに出てる。
avid(アヴィド)としての音楽活動は、昔の曲は一切やらないという条件付きだった。
翔があんな状態になって以降、作った曲しかやらないことが出演の条件だった。
世間は美談としてもてはやしたけど、そんなんじゃない。
翔が、いないのに。
翔の作った曲なんてできるかよ。
ばっかじゃねーの。
世間のやつらって、案外バカなのな。
簡単だし。