第2章 One Good Man
放課後までかずなりくんは、俺にべったりくっついたり、仕事したりと忙しかった。
俺はその合間合間に、頼まれた力仕事をした。
こういう施設は常に人手不足で。
若い男の力なんて、すごく足りなくて。
実際、腰が痛くなるほど働かされた。
こりゃあ…バイト代もらわないと割りに合わないですよ…先生…
苦笑いしながら、仕事をした。
汗を拭うと、かずなりくんが走り寄って来る。
首に巻いていたタオルを俺に渡すと、また子どもたちの輪に戻っていく。
遠慮無くタオルを使わせてもらうと、石鹸の香りがした。
かずなりくんの匂いに、少し赤面した。
あんな純真な顔で寄り添ってこられたら、俺だってひとたまりもないかもな…
なっ…
何考えてんだ俺…
その後も、力仕事をしたら、あっという間に下校時間になってた。
かずなりくんはまた俺と離れたがらず…
先生が困り果てていたので、また明日もくるって約束をした。
できない約束だったけど…
そうでもしないとかずなりくんは離れてくれなかったから。
「わかりましたっ」
笑顔で、疑うことなく…
心が痛んだ。
ピリピリと心臓に塩酸が染みていくようだった。