第7章 Kozmic Blues
ベランダに出ると、窓から見える公園のブランコに先生は座っていた。
俺を見上げていた。
立ちあがって、俺に一礼すると先生はにっこり笑った気がした。
和也と居る時みたいな笑顔。
よく見えなかったけど、俺にはそう見えたんだ。
「先生っ!」
慌てて叫んだ。
でも先生はもう俺に背中を見せて歩き出していた。
「先生っ!待って!」
ベランダから叫んでも聞こえるわけないのに、子供みたいに叫んだ。
「先生!行っちゃだめだ!」
俺には、先生のやろうとしていることがなんとなくわかった。
止めなきゃいけない…!
”不思議ですよね…他の子供も同じような境遇なのに…”
和也を抱きしめるとき、いつもマリアみたいな顔してた。
”うちの主人も、和也くんのことかわいがってるんですよ”
旦那さんのことを言う時は目尻が下がっていた。
”私の産んだ子供達と同じくらい、愛おしいんです”
和也と目を合わせて微笑むと、本当の親子のように見えた。
先生…!
だめだ…!
気がついたら走ってた。
先生を追いかけて走ってた。
駅について、先生を探しても居なくて。
俺は必死に思い出していた。