第7章 Kozmic Blues
「もしもし…潤だけど…」
『なに?』
ガオの機嫌が悪い。
「翔がいなくなった」
『は?』
「推測なんだけど…今日あった殺人事件の犯人が、和也の先生じゃないかって思うんだ」
『あの…施設の?』
「そう。まだ俺、全然事情がわかんないんだけど、翔は家を飛び出していったみたいなんだ…」
『わかった。調べる』
「頼む。これ以上、何も起こってほしくない」
『今、翔の家なの?』
「うん」
『シャブ中いる?』
「そのシャブ中が、先生から翔に宛てた手紙発見して、俺に電話してきたんだよ…」
『…その手紙、写メして』
「わかった」
『シャブ中はこれから施設ぶち込むから、ロープで縛っといて』
「え?」
『翔に泣きつかれた』
「…わかったよ」
『ありがと。頼りにしてる潤』
「…おう」
『先生のこと、何かわかったら連絡する』
「よろしく」
プツっと電話が切れると、背後で雅紀が唸ってるのが聞こえた。
俺は部屋を漁って、ビニール紐で雅紀を縛り上げた。
「翔…どこいったのぉ…」
雅紀の間抜けだけど、切ない声は翔に届くことはなかった。