第7章 Kozmic Blues
先生は泣きながら俺の家を訪ねてくれた。
「絶対に和也くんを取り戻しますから…」
「先生…それは僕がやりますから…先生はあの子たちの面倒、みてあげないと…」
微笑んでそういうと、先生はまた泣いた。
長い時間、先生は泣いていた。
帰り際、先生は何かを決意した顔で俺を見上げてた。
「さようなら、櫻井さん」
それから、先生には会っていない。
ゆるやかに時間は流れていった。
音楽を作りながら、俺達はそれでも進んで行かなければならなかった。
あれ以来、たまに耳が聞こえなくなることはあるが、仕事には支障なかった。
きがついたら5年経っていた。
もう和也の名前が出てくることも少なくなった。
でも俺とガオは別々に和也を探す作業をしてた。
そして、アイツを見つけ出して必ず殺すって計画も立ててた。
ガオは俺の音楽をとりあげたアイツを凄く憎んでた。
そして、俺達の事をとても大事にしている。
孤児のガオにとって、俺達は家族だから。
だから、和也のことは弟のように思ってた。
そんな和也をとりあげたアイツを凄く憎んでた。
ガオの執念と俺の妄念は一緒だった。
俺はひたすら、和也を腕に抱ける日だけを夢見て生きていた。