第7章 Kozmic Blues
「ひゃあああっ…ああっ…」
叫び声を上げながら、雅紀が部屋の隅で蹲った。
「雅紀…?どうしたんだよ…」
「いやだぁぁっなにこれっ…なにこれっ…」
ぶるぶる震えながら、虚空を見てる。
「翔っ…これ、取ってよっ…どっかやって…!」
「だから…なにがいるんだよ…わかんねえよ…」
もう…疲れた…
5年前、和也の居なくなった日。
その日から、俺の感情は死んでしまった。
あの日、なぜか俺は和也はもう帰ってこない気がしたんだ。
それほど、アイツの執念が凄かったことを、やっと悟ったから。
そして、俺はアイツの気持ちがわかってしまっていたから。
和也のこと、手に入れるためにきっと周到な準備をしたに違いないという直感は、やはり当たってた。
警察は頼りにならなかったが、ガオがだいぶ金を積んで調べてくれた。
アイツは外国をいくつも経由して、どこかへ消えていた。
そして、和也も多分偽造パスポートを使って連れていかれたんだろうと。
今も細々と調査は続けているけど、和也にたどりつくまで、一体どれだけの時間がかかるのかは、わからなかった。