第10章 名前と台本 ~H&T~
----浩史side----
朝から騒がしかったが皆仕事に行くと静かになった
その日唯一オフの僕はリビングで台本を読んでいた
『神谷さん?』
その声に振り向く
「…名前でって朝言ったよね。名前」
『あ、ひ浩史さん』
その声で呼ばれ微笑む
「ふふ。ところでどうしたの?」
『あのお昼どうしますか?』
時計を見ると12時を過ぎていた
「もうこんな時間か」
『よければ作りますけど』
「じゃあ、お願い」
『はい!』
彼女は頼ってもらうことが嬉しいんだろう
笑顔で台所にむかった
────────
数分後
『どうぞ』
目の前には彼女が作ったオムライス
「ありがとう。いただきます」
『いただきます』
口に入れるととろけるたまごの食感
「美味しい!」
『本当ですか!良かった』
食べ終わると
『あの、ケーキあるんですけど食べますか?』
「ケーキ?」
『はい。信彦さんにオススメのお店を教えて貰って買ってきたんです』
岡本くんのオススメか
だったら間違いないんだろうな
でも、2人の時に他の人の名前か…
「いただくよ」
『じゃあ持ってきますね』
席を立った彼女を見ていた