第1章 ~第一章~甘い時間
―――宣言式を終えて数日後―…
相変わらず私達はお互いに公務が忙しくてルイと会う時間すらない程、行動を制限されていた。
ジル「プリンセス、時間がないのでお急ぎ下さい。」
そう言って眉をよせるジルの後を追うように私はドレスを翻しながら廊下を走っていた。
「……はいっ…!!次の会議まであと何分ですか…?」
すると廊下を曲がった先に、少し驚いた顔をしたルイがいた。
ルイ「……ユヅキ…?」
「…!!ルイ、久しぶり!!……あっ」
そう言い終わると同時に、急いでいたため足がもつれてしまう。
(転ぶ…っ!!)
そう思い、思わず目を瞑った。
(……?)
思っていた衝撃はなく、気づくと私は抱き締められていて、顔をあげるとそこには優しく微笑んだルイの姿があった。
ルイ「……ユヅキ、頑張るのはいいけど、気を付けて」
「ありがとう、ルイ。じゃあ、私もこれから公務があるから…ルイも頑張ってね!」
そう言って私はルイに微笑み返すとすぐにジルの後を追った。
(………ユヅキ……。)
久々に触れたユヅキの感触を思い出しながら、ユヅキの後ろ姿をルイは少し寂しそうな目で見送ったのだった。