As well be hanged for .....
第11章 裏切りは手に 真実は足に 前篇
外はうだるような暑さがピークを過ぎ、そろそろ夏もくだりに入るだろうと言う頃。
昼のまどろみの時間、ゴテゴテと飾り立てられた封筒が屋敷に届いた。
「お嬢様。お手紙です。」
「あ、今年ももうそんな時期なのね。」
セバスチャンが手紙を部屋に届けに行こうとしていた時、ちょうどウリエがリビングに現れた。
封を開けた封筒を渡し、ウリエが中身に目を通しながらセバスチャンの質問に答える。
「一体なんです?」
「バッキンガム宮殿で開かれるパーティー。これは前に行った簡素なパーティーとは違う本格的なものね。」
シエルの持っているひらひらのお子様趣味な服で行けるわ。と言った彼女。
涼しいリビングに居座りゲームに興じていたシエルは、ウリエを睨みつける。
きっとシエルは噛みつくだろう。とセバスチャンは口を挟まずしばし黙る。
「貴族どもが集まるんだったら、女王も顔を出すんじゃないのか?姉の事を聞くには丁度いい機会だ。」
僕は行かないけどな。と意外にも牙を収め大人な対応。
セバスチャンはちょっと拍子抜けし、ウリエも少し驚いたようだった。
これが普通の対応である。とセバスチャンは自分に言い聞かせる。
「そうよね…姉さまの事、聞いてみないと。」
「2週間後、でしたね。お嬢様、お召し物はどうなさいますか?」
「毎年新しい物を仕立てているの、今年もそうするわ。」
かしこまりました。とセバスチャンは招待状を受け取り、仕立屋の連絡先を聞き、準備に取り掛かるべくリビングを後にした。