As well be hanged for .....
第10章 女は投げやりに 男は完璧に 後篇
ウリエは女王と「義足の男」の二つの事柄を天秤にかける。
姉の謎を追うか、父の見つからない遺体に似た男を追うか。
姉の事を追えば、必ず女王を裏切ることになる。
男の事を追えば、これから浮上すると思われる女王の憂いは晴れることになり、犬として立派な働きを見せることになる。
今すぐにハッキリどちらを追うかを決める事は難しかった。
「あぁ、そろそろティータイムですね。」
セバスチャンが手を叩いて思考の森に入っていたウリエを引きもどす。
知恵熱を出されても困る。とシエルもウリエをティータイムに誘う。
「そうね。考えすぎもよくないわ。」
「次にしなければならないのは、お前の姉の葬儀だろう。」
まずは目の前の事から一つずつ片付けて行かなければ。
リエラの遺体の事は、何一つ見落とすことなくセバスチャンが調べている。
ティータイムを終えたら、姉を安らかな眠りへと導いてあげよう。とウリエは言う。
シエルはそんなウリエの儚げに笑う姿に、少しだけ心が痛んだ。
もう、そんな顔をしてほしくない。
いっそのこと、真実など知らなくてもいいから自分の手で眠らせてやりたい。
悪魔のくせに優しさを覗かせるなんて。
思わず嗤いがこみ上げた。
「シエル?何笑ってるの?そんなにおやつが楽しみ?」
「は?」
「やっぱり子供ね。」
「違う!」
(女は投げやりに 男は慎重に 後編)