As well be hanged for .....
第8章 閑話休題
「ぼっちゃん。咄嗟のことだったとはいえレディをぶん殴るのは如何かと思いますが。」
「じゃぁ、これ以外に何か方法はあったと思うのか?」
「いっそのことしてしまえばよかったじゃありませんか。キス。」
「~~っ!」
元の状態に戻ったリビング。
そのソファーには、きゅう。と伸びたウリエ。
彼女の頭には冷たく濡れたタオルが乗せられている。
「あぁほら。キスで目覚めると言う童話もありますしね。」
「うるさい!あんな状態のウリエとキスなんかできるか!」
「おや、では。あんな状態でなければお嬢様とキスなさると。」
「上げ足を取るな!」
やんややんやとソファーの横で盛り上がっていると、うーん。とウリエが目を覚ます。
「喧嘩?どうかしたの?」
「ウリエ!?」
ひぃ!と咄嗟にシエルはセバスチャンの後ろに身を隠す。
セバスチャンはそっとウリエをソファーに押し戻し、また奇怪な行動に出ないよう細心の注意を払う。
「転んで頭を打たれたのです。大丈夫ですか?私達の事がわかりますか?」
「セバスとシエル。私、転んだ?」
「えぇ。何も覚えてらっしゃらないのですか?」
「うーん…リビングでCMを……あ、事件はどうなってるの?」
どうやらウリエはあの時シエルが、強行で再生してしまったCMを見てからの記憶が無いらしい。
セバスチャンが事件の事をちょっとだけ脚色して報告し、ウリエは自分がマインドコントロールに見事に引っかかっていた事を恥じていた。
「そっか。ありがとうシエル、助けてくれて。」
「え、いや。」