As well be hanged for .....
第8章 閑話休題
「い、行くぞ…」
「はい……」
シエルお気に入りのソファーに座らされたウリエは、不思議そうな顔をしている。
その前に立つシエルは、緊張した面持ちで、穴の開いた硬貨を吊った糸を指でつまんでいる。
セバスチャンは、そんな二人を何かあった時のために固唾を飲んで見守っている。
「あ、あなたは…段々……」
「シエル?催眠術をするの?」
「そうだ!いいから黙って座ってろ!」
「って言われても、恥ずかしがってやられちゃ、かかる物もかからないわよ。」
「そうですね。ぼっちゃん、堂々とやりましょう!」
「あぁ煩い!わかった!黙ってろ!」
ぐぬぬ。と、ぷるぷる震える指先に、催眠術の道具も一緒に震える。
じーっと見つめあう、エメラルドと真紅の瞳。
ようやく決心し、深呼吸をする。
「よし……あなたは段々『猫』なる、あなたは段々『猫』になるー…。」
何度かシエルの呪文が続き、ウリエの目の前で硬貨の振り子が何度も何度も往復する。
すると、ウリエの様子が段々変っていき、終いにはカクンと首が項垂れた。
「かかったか…?」
「どうでしょう…。」
シエルはウリエから後ずさり、セバスチャンと並んでウリエを見つめる。
ううん。とウリエが動きだし、シエルが呼びかけると。