As well be hanged for .....
第2章 出会いは唐突に 契約は慎重に
「契約?」
「あぁ。」
少女の目の前に現れた少年は、不思議な甘い匂いのする少年だった。
焼き菓子の様な花の香りのような。
とにかく、少女の好む匂いだ。
「何の契約?」
少女は自分の身体を忘れて、少年へと意識を強く向けた。
自分の喉から声が出ているのかもわからない。
本当に自分の目で少年を見ているのかもわからない。
「父親が消えた理由を探り、姉がなぜ姿を消してしまったのか。」
少年は、誰も知りはしない少女の願いを叶えてやろうというのだ。
手を差し伸べ、少女が自分の手を掴むのを待つ。
「真実を追う手助けをしよう。」
魅力的だ。非常に魅力的だ。
年端も行かない少女一人で追うには、巨大で深すぎる闇だった。
手を伸ばそうとした。
でも、思うように動かない。
少女の虚ろな思考の中で、何かが警鐘を鳴らしたのだ。
「なん、なの?」
契約と言うのだから一方的に与えられる訳ではない!と脳の隅っこが騒ぎたてた。