As well be hanged for .....
第16章 成果は舞台に 喜劇は皿に 前篇
ウリエ、シエルの二人は、Rの欠けた天使の集団の飼い犬であった、トーマス・ロヴィンソンの後をセバスチャンに付けさせる。
タウンハウスで仮眠と待機する二人は、朝の凛とした空気の中、神経を張り詰めながらセバスチャンからの連絡を待ち続けた。
ソファーに横になりながら、限りなく音を小さくしたテレビを見ているウリエ。
毛布からちょっとだけ覗かせている目は、テレビに向いているが心ここにあらず。
シエルは昨夜から飽きずに、お決まりのソファーに座って携帯ゲーム機を握りしめている。
しかし、ゲーム機から漏れてくれる音はゲームオーバを知らせる効果音ばかり。
彼もまた上の空。
時刻は、4時半。
さっき時計を見てからまだ30分と経っていない。
「セバス。大丈夫かしら。」
「もちろん。大丈夫ですよ。お嬢様。」
「セバス!」
ふんわりと漂ってくる焼きたてのパンの匂い。
それと共にキッチンカーを押して現れたのは、セバスチャンだ。
ウリエは。美味しそうなパンの匂いに釣られてか、それともセバスチャンの帰還に喜んでか半々だったが、ソファーから身を起こし笑顔でセバスチャンを迎えた。
ローテーブルに早すぎる朝食の準備を整えていくセバスチャン。
シエルは飽き飽きしていた携帯ゲーム機を放り、早々セバスチャンに、どうだった。と報告を促す。
「えぇ。簡潔に言いますと、きちんとしつけのされた犬です。トーマス・ロヴィンソンは、真っ直ぐハウスに帰りました。」
ハウスの出来る優秀な犬です。とセバスチャンは一人クスクス笑いながら言う。