第6章 ♣️そのマンション、私が管理して差し上げましょう
「私、実は…ゲイバーのママなのよ…」
へっ?
ゲイバーのママ?
あぁ、それで内股…
「そ、そうですか。ま、私はその手の話に偏見はありませんから、ご安心ください。ただですね、それとコレとは、話が別なので…」
私は大家さんから預かっていた帳面を、松本さんの目の前で開いた。
記載されていたのは、松本さんからの家賃の納入状態。
明らかに何ヶ月分かは滞っているのが、素人の私にも分かる。
「ごめんなさい。でも、仕方がなかったのよ、どうしても新しいドレスが欲しくて…。それに私、この眉がトレードマークなんだけど、そのメンテナンスにもけっこう費用がかかるのよぉ…もぉ、どおしたらいいのかしら…」
松本さんはその場に泣き崩れた。
私はその肩にそっと手を置き、
「大丈夫ですよ、松本さん? 私に提案があります」
松本さんが涙に濡れた顔を上げた。
「まず、着なくなったドレスを売りましょう? それから、新たに蛍光灯を買うんです。そしたら、今度はシャンデリアを売りましょう」
その後松本さんは着なくなったドレスをリサイクルショップに持ち込んだ。
勿論、私も付き添って差し上げた。
だってこれは列記としたデートの誘いですよ?
断る理由なんてどこにもございませ〜ん。
松本さん、私は待ってますよ?
あなたが男に戻る日を…
首をながくして、ね?