第6章 ♣️そのマンション、私が管理して差し上げましょう
「話って何?」
「玄関先ではなんですので、中でゆっくり…」
玄関脇に置かれたラックから、豹柄のケバケバしいムートン調のスリッパを取り出した。
「ちょっと管理人さん、勝手に何してんの?」
松本さんが呆れたように私を咎めるが、私には通用しませんよ?
「お、おい。そこは…」
な、な、なんだこの部屋は…
間取り図を見る限り、この部屋も他の部屋と同じ、1LDKのリビング部分と思われる場所の筈。
それがどうだ…
壁は全てぶち抜かれて、巨大なワンルームと化しているではないか。
しかも天井から吊り下げられたシャンデリア…
一見しただけで、かなりの重量があるのは明白だ。
一面ゴールドの壁に囲まれた空間は、ギリシャ神殿もビックリな作りになっている。
そしてその一角にパーテーションで覆われた…ウォークインクローゼット?
チラリと覗くと…
へっ???
これまたゴージャスな…ドレスの数々…?
「あの…失礼ですが、松本さんのお仕事って…」
振り向き様に見た松本さんは…何故か超内股?
「秘密よ? 絶対に誰にも言わないでよ? お願いよ?」
口調まで違っちゃってるじゃないか…!