第6章 ♣️そのマンション、私が管理して差し上げましょう
102号室 相葉雅紀
この相葉雅紀という人物は、実に不思議な人だ。
何が不思議か、って?
この男の笑顔には魔力があると言ったら分かり易いだろうか。
なんともキラキラした笑顔なのだ。
何を隠そう、この私も実は相葉雅紀の笑顔の魔力にかかっている。
私は彼の笑顔を見る度、胸が高鳴る。
ひょっとして…
私は彼に…?
いや、そんな筈は…
確かめなければ。
ピンホーン
バタバタバタバタッ!
なんだなんだ、何の騒ぎだ?
「はいは〜い」
バーンと開かれたドアから覗いた顔は…
あぁ…キラキラ眩しい笑顔…
「あ、あの、私管理人の二宮です。ちょっと宜しいでしょうか?」
私は動揺を隠そうと、必死で平静を装った。
「なになに? オレに何の用?」
私の気持ちを知ってか知らないでか、相葉さんはニコニコ微笑みかけてくる。
「実は、騒音被害で近隣住民から苦情が出てまして…」
「えっ、そうなの? ごめんごめん、全然気にしたことなかったけど、今度からは気を付けるから、ね、ね、許して?」
心底申し訳なさそうに手を合わせる相葉さんに、ついつい私の仏心が湧いてくる、が…
「そうは問屋が卸しませんよ? 一度お部屋を確認させて頂けませんか?」
私は相葉さん宅への侵入を試みた。