第1章 ♥オイラは美術教師
智side
え、俺今何されてんの?
どうして櫻井くんは俺の服、脱がしてんの?
鍵…閉める必要あるの?
「先生、俺を見て?」
俺の顎に櫻井くんの手がかかり、上向かせる。
息がかかるくらい近くに櫻井くんの顔があった。
あれ、眼鏡がない?
「…眼鏡、は?」
「邪魔だから、こうするのに」
突然唇が塞がれて、俺は反射的に目を閉じた。
ゆっくり瞼を持ち上げた。
えっ、えぇぇっ!?
俺は櫻井くんの胸を叩いて抗議するけど、その手はあっけなく櫻井くんの手に捕まった。
息…出来ない…よ?
首を振って漸く唇が開放された、と思ったのも一瞬で、またすぐに捕まって…
ちょっとだけ唇を開いたら、その隙に口の中にヌルッとしたモノが入ってきた。
ソイツは俺の口の中で、俺の舌と追っかけっこを始めた。
でも、ちょっとだけ逃げ遅れた俺の舌はすぐに捕まってしまって、ソイツの強引な動きに翻弄される。
「ふ…んん…ん…」
あぁ…身体から力が抜けてく。
漸く開放された唇から、飲み込みきれなかった唾液が、だらしなく零れた。
「大丈夫ですか? まだまだこれからですよ?」
大丈夫か、って聞かれても、何が大丈夫で、何が大丈夫じゃないか…
なんて答えて良いのか分からなくて、俺は櫻井くんの顔を見つめた。