第5章 ♠ラップでウィンナー売っちゃうぜ!
俺は櫻井翔。
人は俺を超がつくほどの“完璧主義者”だと言う。
頭脳明晰、容姿端麗、眉目秀麗、才色兼備、成人君子…等々…
こんな言葉を、俺は今まで何度言われてきたことか…
実際のところ、俺のように完璧な人間なんて、そんじょそこらにはいないだろう、と俺は思っている。
そして俺に出来ないことなんて、この世の中ないんじゃね?、とすら思っている。
例えばの話し、ホットプレートの上で転がる赤いタコさん。
俺の手にかかれば…
「ママ〜、あのタコさん真っ黒〜!」
な、な、な、なんだと〜?
分かってないな〜
「いいかい、お嬢ちゃん? タコさんは墨を吐くだろ? だからタコさんは火炙りにされると、体内の墨が表面に浮き出て…」
「ほ、ほら、行くわよ…」
オイオイ、人の話は最後までちゃんと聞きなさいよ?
全く最近の若者はマナーがなってない。
そもそも加工食品とは言え、ウィンナーは生モノだ。
しっかり火を通して然るべきだ。
半生の状態で提供して、腹でも壊された日にゃ…
それこそクレームの嵐だ。