第4章 ♥ギラついたアクター
この手の人種は、非常に扱い易い。
「なんだ、潤の頼みなら場合によっては聞いてやらんこともないけど…」
ほ〜ら、かかっただろ?
毛深い手が、俺の手をモミモミ始めた。
「俺、前から思ってたんだけど…。イメージPVっての? 監督に撮って欲しいな…なんて思ってたんだよね…」
監督は片手を顎に宛てると、ホウホウと言いながら身を乗り出した。
「お願い、か・ん・と・く♡」
♡付きでどうだ?
「潤ちゃ〜ん、相変わらずヒリヒリしてるわねぇ〜」
おっ、復活おねぇ言葉♡
よし、と勢い付けて立ち上がった監督は、周りのスタッフにアレコレ指示を飛ばした。
とは言っても、この手の映画の撮影の場合、現場スタッフなんてのはごく少人数なんだけどね…
俺に関しては、アドリブでの演技が要求された。
ま、アドリブなんて、俺くらいになると大したことじゃない。
寧ろ大歓迎だ。
またしても監督の手が俺の腰に回り、その手に押されるまま、セット内のベッドサイドに座る。
「んじゃ、任せたわよ潤ちゃん♡」
俺の腰に回した監督の手が、俺の尻を一撫でして離れた。
するとヘアメイク担当のメガネさんがやって来て、俺の髪を櫛で撫で付けた。
ん?
この子ちょっと…♡