第21章 銭湯へGo!
「再び受けの湯」
「あれ~、おかしいなぁ?」
ん?
どうした?
ギリシャ彫刻の連れの男が何やら困っているようだぞ?
「どうかしましたか?」
鞄をひっくり返し、中身が辺りに散乱する。
「持って来た筈なんだけどね? ちゃんとここに入れてさ…」
いや、そこに無いってことは、最初っから入れてなかったんだろ?
違うか?
「何か忘れものですか?」
いささか呆れ気味に聞いてみる。
すると連れの男が私を振り返った。
ウキョ~っ!
なんだ、この爽やかな好青年はっ!
サラサラと靡く、見るからに柔らかそうな髪。
思わず微笑み返してしまいそうな、優しそうな笑顔。
あぁ、この男の苦悶に歪む顔が見て見たい。
私の手は無意識に中心を握り込んでいた。
「アレがないと困るんだよね…ってか、もしかして売ってたりします?」
だから何が!
「物にもよりますけど…」
「シャンプーハットなんだけどさ、置いてあったりする?」
シャ、シャンプーハットだと⁉
今時そんな物を使う輩がいるとは、夢にも思わなかったぞ?
「一応置いてありますけど…。ただ子供用なので、お客様の頭が入るかどうか…」
見た感じ入りそうもないが…。
「それでもいいよ、頂戴」
買うんかい!