第21章 銭湯へGo!
「再び攻めの湯」
私の下半身の熱も冷めやらぬまま、再び”攻めの湯”の暖簾がヒラリと靡いた。
入って来たのは…
これまたギリシャ神話に出てきそうな、彫の深い、ちょっと濃ゆ目のイケメン。
「いらっしゃいませ」
ドキドキしながら頭を下げる。
「大人二人ね」
「は、はい。900円になります」
どうしよう…
緊張のし過ぎで顔が上げられない。
こんなこと初めてじゃないのか?
「ひゃ、百円のお返しです」
「どうも…」
お釣りを渡す手が震えるが、偶然を装って少しだけその手に触れてみる。
キャッ♥
私のハートが鷲掴みにされたようにときめく。
あぁ、だめだ…
あの綺麗な顔をもっと近くで拝みたいのに…
パーテーションの向こうに消える背中を、少しだけ上向けた視線で追う。
が…
なんてことだ!
特大扇風機が邪魔して、良く見えないじゃないか!
「チッ…、忌々しい扇風機め…」
かと言ってこんな姿のまま、ここを離れる訳にもいかない。
なにせ私の下半身は、私自身が吐き出した大量のミルクでグチャグチャなんだから。
さぁ、どうする?
おっ!
そんな時のために用意してあった秘密兵器があることを、私は思い出した。