第20章 飼育担当、相葉です!
「…葉君。 起きなさい、相葉君」
オレを呼ぶ声に、ゆっくりと脳が覚醒のためにせっせと働きはじめる。
「起きてくださいよ、相葉君!」
「え、園長っ‼‼」
オレは慌てて身体を起こし、その場で姿勢を正した。
「とりあえず服を着たらどうだい?」
園長の言葉に、オレは自分がマッパだということに気づく。
や、やっばっ!
「す、すぐ着替えます!」
檻のアチラコチラに散らばる服を一つずつ拾いながら、身に着けて行く。
そして全てを身に着けると、また園長の前に姿勢を正して座った。
「相葉君、君…」
「す、すいません、オレ、その、魔が差したって言うかなんて言うか…」
「ほんとだよ、君は一体なんてことをしてくれたんだい?」
呆れ顔の園長が、呆れ口調で言う。
「ほんと、すいませんでした!」
「いやね、困るんだよね…こんなことは…」
そうだよね…
動物園の大事な動物にあんなことやこんなことしたら…
そりゃ怒られても当然だよな…
オレ、飼育員失格だ…
「オレ…荷物纏めて出ていきます…」
「い、いや、ちょっと待ちなさい。君、荷物なんて無いでしょ?」
あ、そっか…
オレ、今日ここに来たばったかだ…
なのに、こんな問題起こしちまったのかよ?
最低だ、オレ…