第20章 飼育担当、相葉です!
「さあ、着いたよ? ここがウサギの檻。ほら、あそこで肩を落としてるのが”ショウ”だ。」
へぇ~、超可愛いじゃん♪
「ショウ、おいで?」
オレはその場にしゃがみ込み、両手を広げて見せる。
「ショウ?」
…反応はない。
「アイツ、最近フラれちゃったんだよね」
だからか…
ガックリと肩を落としちゃって…
耳もすっかり垂れちゃってる。
「触っても大丈夫ですか?」
オレが見上げると、志村さんが無言で頷いた。
「俺は向こうへ行ってるから。何かあったら呼んでくれる?」
「はい」
志村さんが檻の鍵の束をオレに向かって差し出す。
オレはそれを使って檻の中に入った。
ショウを不安にさせないように、あまり物音を立てないように、そっと近づく。
「ショウ?」
一瞬ショウのまん丸の目がオレを見上げた。
「ショウ、抱っこしてあげようか?」
オレは両手を広げ、これ以上ないってくらい優しい笑みを浮かべて見せる。
「おいで?」
だめか…
そう思った瞬間、ショウがオレの指先をペロリと舐めた。
「おいしい?」
ショウがクリクリの目をパチパチとさせてオレに応える。
よっしゃ!
ここまで来ればこっちのモンだ。