第19章 プールで監視?
監視台の天辺に座っても、気になるのは”ダビデ像”こと潤君のことばかりで、オレはイガグリ君達の中に潤君の姿を探した。
と、その時だった。
「きゃ~!」
黄色い歓声…じゃなくて悲鳴が上がった。
なんだなんだ、事件か?
はたまた、事故か?
「誰かが溺れてるわぁ~!」
なぬっ⁉
これは一大事!
俺はジャージチックなハーフパンツを脱ぎ捨て、拡声器とホイッスル、緑のキャップにサングラスを監視台の上に並べると、正義のヒーロー宜しくププールに飛び込んだ。
イガグリ君達を掻き分けるようにバタフライで目的地まで泳ぐ。
見とけよ、この華麗な泳ぎを!
な~んてこと考えながらね。
そうして漸く辿り付いた事故現場。
水面にプカプカ浮く身体を抱き込むと…
な、な、な、なんと!
”ダビデ像”…いや、潤君じゃないか!
脱力した潤君を抱え、プールサイドまで運ぶと、その彫刻のような身体を横たえた。
鼻先に頬を当て呼吸を確かめる。
これはあの手を使うしかない!
いやしかし…
いんや、今は躊躇っている場合じゃない。
オレは潤君のスッと筋の通った鼻を摘まみ、顎をクイッと上げると、潤君の唇に自分のそれを押し当てた。