第17章 介護ってなあに?
夕食の時間が終わると、順番に薬が配られていく。
これも間違いのないよう、徹底的に管理がされている。
違う薬を服用してしまったら、それこそ命にかかわる人もいるだろうしね…。
後片付けも終わり、翌日の朝から仕事が入っている3人は施設を後にした。
残ったのは俺と智君。
幸い夕方からの仕事だったため、山田さんに頼み込んで夜間勤務の体験をさせて貰うことにした。
夜間になると職員の数は更に減って、場合によってはたった一人で勤務しなければいけないことも少なくないのが現状のようだが、この日はたまたま施設長の山田さんを含め3人での勤務体制。
隣で舟をこぎ出した智君の安らかな寝顔に、何も起こらずに夜が明けることをひたすら願った。
でも、そんな俺の願いも虚しく鳴り響くコール。
職員の一人が部屋番を確認して動き出す。
職③「また六郎さんだわ…」
また…
その言葉の通り、数分も経たずに職員は戻ってくる。
「何があったんですか?」
職③「迎えはまだかって…。いつものことなんだけどね」
そう言ってまた手元の書類を捲りだした。
職④「私そろそろ見回りに行ってきます」
山「そんな時間? お願いしますね」
「あの、一晩に何回ぐらい見回りはするんですか?」
山「大体2時間おき、ってとこかしら? 場合によってはおむつ交換とかもするんですよ?」
2時間おき…
それじゃあゆっくりしてる暇なんて…
その時またコールが鳴った。