第17章 介護ってなあに?
?「おい、そこのお若いの」
N「へっ、俺?」
?「そう、あんただよ。ちょっとこっちへ来て碁の相手でもしてくれんかの?」
ニノが手を引かれ、碁盤の置かれたテーぶるまで引っ張ていかれる。
背中に張られた名札を見ると、”四朗”と書かれていた。
でもアイツ、碁なんて打てたっけ?
N「悪ぃ、俺碁は出来ないんだわ」
俺の予感は的中した。
しかしここは流石ニノだ。
実に上手いやり方で四朗さんの興味を引く。
N「いい、よ~く見といてよ? ほら!」
ニノが得意とするカードマジックだ。
四「お~、凄いじゃないか! 他にもやって見せてくれ」
N「よし、じゃあ次はね…」
二人のテーブルの周りには、いつの間にか人だかりが出来ていた。
さながらニノのマジックショーのような光景だ。
山「ああいったレクリエーションも、利用者さん達の楽しみでもあるんですよ? ほら、向こうでは五月さんの絵画教室が始まりましたよ?」
テーブルの上に一面に敷かれた新聞紙。
その上にクレヨンと画用紙が並べられる。
O「あ、オイラ絵画教室習ってくる」
芸術家としても高い評価を得ている智君だ。
きっと…
五「何だいあんた…それがあたしだって言うのかい? あたしはもっと美人だ。描き直しておくれ!」
智君が描いた、五月さんと思われる似顔絵が、床に向かってヒラヒラと落ちる。
O「…………」
無言でそれを拾い上げる智君が、悔しそうに唇を噛んだ。