第17章 介護ってなあに?
食堂に行くと、続々と利用者さんが集まってくる。
どの人も車椅子だったり、杖を突いていたり、自立歩行できる人だって職員の手を借りながら、それぞれのネームプレートの置かれた席に着いていく。
あ、一子さんだ。
着替えも済ませて、ニコニコ笑顔で席に着いてるけど…
「あの、一子さん席間違ってませんか?」
山「あら、ほんとだわ。すいませんけど、一子さんのネームプレート、取り替えてきてくださる?」
M「俺行ってくるわ」
潤が一子さんのネームプレートと、テーブルに置かれたネームプレートを交換する。
どこの施設でもそうなのかは分からないが、この施設ではあえてお年寄りを動かすことはしないようだ。
一子さんは申し訳なさそうに、何度も潤に向かって手を合わせ、頭を下げた。
M「なんか俺、大したことしてないんだけど、あんな風にされると切ないね」
潤の顔が神妙な面持ちになる。
そうこうしているうちにテーブルに、おやつのお菓子と、飲み物が配られた。
O「ねぇ、お菓子の種類違うよ?」
確かに…
せんべいの人もいれば、プリンの人もいる。
山「利用者さんもそれぞれ違いますからね。入れ歯の人もいれば、全く歯のない人だっていますから。一人一人の状態に合わせて用意してるんですよ?」
O「ふ~ん、オイラはどっちも好きだけどな…」
N「あんたの好みは聞いてないから」
そりゃそうだ。