第17章 介護ってなあに?
山「そうですよ。どうせなら大野さん、寝てみませんか?」
O「いいの? やったー」
智君がゴロンとベッドに横になる。
山「じゃあ、櫻井さん。今の、このベッドの高さで、大野さんを利用者さんだと思ってお世話してみてください」
お、俺が?
山「真似事でいいですから」
「は、はい…」
ベッドの高さは、身長約170㎝の俺の膝よりも少し低いぐらい。
この高さでベッドに横たわる智君の身体の向きを変えようとすると…けっこう腰に来るかも…
山「けっこう辛いでしょ? じゃあ、これではどうですか?」
山田さんがリモコンを操作して、ベッドの高さが俺の膝よりも高い位置に設定された。
「あ、これなら…」
さっきよりは身体にかかる負担が幾分か軽減される。
山「他にも利用者さんをなるべく寝たきりにさせないように背中をリクライニングさせたり、色んな機能があるんですよ?」
確かに車椅子の種類だって、俺達が普段良く目にするタイプばかりじゃなく、色んな種類がある。
この電動ベッドにしたって”利用者”と呼ばれるお年寄りへの配慮と、そのお世話をする人たちへの負担軽減が兼ね備えられている。
『二時半になりました。おやつの時間です。皆様一階の食堂へお集まりください』
室内に取り付けられたスピーカーから、”おやつの時間”を知らせるアナウンスが流れた。
山「私たちも行きましょうか? あ、皆さんにもお手伝いお願いしますね?」
D「はい!」
山田さんの言葉に、俺達は揃って返事をした。