第17章 介護ってなあに?
“お漏らし”をしてしまった当の一子さんは…分かってないんだよね、自分が失敗してしまったこと。
ニコニコ可愛らしい笑顔を浮かべていた。
職①「一子さん、着替えしましょうね」
潤が呼んできた職員が一子さんを浴室に連れて行く。
そこへバケツとモップを手に、雅紀が走ってきた。
N「貸して?」
雅紀の手からモップを受け取ると、ニノが床の清掃を始めた。
山「ごめんなさいね? あなた達みたいな方にこんなことさせてしまって」
山田さんが申し訳なさそうに瞼を伏せる。
N「気にしないで下さいよ。これも俺らの“体験”だからさ」
ニノ独特の口調が山田さんを和ませる。
山「さ、次はお風呂は…一子さんが使用中だから、居室を案内しましょうね」
掃除道具を片し、俺達は再び山本さんの後に続く。
山「こちらが利用者さんが暮らすお部屋になります」
トイレと同じく、引き戸を引くと、中は8畳程の個室になっていた。
フローリングの床は、掃除が行き届いているのか、とても綺麗で、壁紙からカーテンに至るまで、生活感の溢れる空間になっている。
「個室にも洗面台とトイレが設置されてるんですね?」
山「はい。ここには自立出来る方もいらっしゃいますからね。それから、洗面台は、勿論利用者さんの洗顔、歯磨き、後は私達職員がお世話させて頂く際の手洗いは必須ですから」
O「ねぇ、このベッドって、電気で動いたりするの?」
見ると智君がベッド脇に掛けられたリモコンを手に首を傾げていた。