第16章 ♥DVDレンタルしてどうするの?
「オレ? オレは…、入ったことあるよ?」
ほうほう、”雅紀”と呼ばれたこの爽やかチャラ男、なかなか正直ではないか?
普通は羞恥心からか、あまり堂々と宣言したりはしないものなのだが。
「で、智はあるの?」
なるほど、色黒ギョサン男は”智”か。
「オイラはねぇ、ないよ?」
今時”ない”とは、これは驚きだ。
見た目も天然記念物の如くフワフワしているが、まさかね…
「入ってみる?」
「えっ、いいの? やった~」
なんて無邪気なんだ。
”智”とやら、
君は知っているのか?
この暖簾の奥に何があるのか。
「ほら、いくよ? せ~の~」
そんな掛け声をするほど、大そうなものではないぞ?
「えいっ‼」
”智”よ、君もノルのか!
仕方ない。
一度目を付けた客だ。
最後まで見守るとしよう。
私は返却されたDVDを棚に並べるフリを装い、二人の背後にそっと忍び寄る。
「ねぇ、凄いよ、これ!」
どれどれ?
なんとそれは新作ではないか!
「どれ? あぁ、”〇吹き娘”ね。それなかなか良かったよ?」
もう視聴済みなのかい!
「へぇ…。雅紀こういうのが好きなんだ?」
「そうでもないんだけどさ、一応ね?」
なんだその”一応”って…
「雅紀って、やっぱりエッチなんだね」
そうだろうね?
じゃなきゃココには来ないでしょ?