第2章 ♥私は怪しいホテルマン
105号室の清掃は後回しだ。
私は今来たばかりの通路を、足早に引き返した。
清掃道具を載せたカートを通路にほったらかしたまま、フロントルームに入ると大急ぎでモニターの電源を入れた。
映し出されたのは無人の105号室。
それを101号室に切り替えた。
映し出されたのは…
なんだ、このカップル?
こういうのが俗に言う“バカップル”ってやつか?
硬派な男が両手を広げると、フワフワ金髪が飛び付く。
しっかりとフワフワ金髪を両手に抱きとめ…クルクル?
フワフワ金髪の、フワフワのスカートがフワッと膨らむ。
はぁ…
ここが草原か海辺だったら、と思ってしまう。
ま、これはこれで面白いか…
2人はクルクル回りながら、ベッドへ雪崩込む。
偶然なのか、それとも計算ずくなのか、フワフワ金髪が硬派な男に組み敷かれる格好になった。
フワフワ金髪がウットリとした顔で、硬派な男を見上げる。
この“娘”、案外可愛いじゃねぇか。
フニャンと笑った笑顔…
これは“最終兵器”並の可愛さだ。