第2章 ♥私は怪しいホテルマン
さぁ、そろそろお客様の休憩時間が終わる。
料金の精算をしなくては…
明細を書いた用紙を奇妙な形の筒に入れ、部屋への転送機にセットした。
105号室のボタンを押した。
機械はけたたましい音を立てて、奇妙な形の筒を部屋へと送った。
数分後、料金を入れた奇妙な筒が、ガコンと音を立てて戻って来た。
筒を開け、中の金額を確認する。
いつも通り、チョッキリの金額がそこには入っていた。
余程几帳面な性格なんだろう、いつも明細通りの金額だ。
そしてそれから程なくして、105号室は“使用中”から“準備中”に変わった。
さて、次のお客様を迎える準備をしなくては…
重い腰を上げ、フロントに隣接するストックルームに入ると糊の効いたリネンを数枚。
あとは…
ゴムと新しいボックスティッシュか…
そして清掃道具一式をカートに乗せ、薄暗い廊下を105号室に、向かって押し進む。
もともと客もそれ程多くないから、その間誰かとすれ違う事も無い…こともないらしい。
場末のモーテルを利用するカップルは、普通に見えて、何かしらの事情を抱えていることが多い。
ってことは、この硬派なイケメンと茶髪のフワフワも訳あり、ってことか?
ドアの閉まる音を確認してから、部屋のランプが“使用中”に変わるのを待った。
101号室か…