第15章 祭りだ、わっしょい!
携帯を開き(因みにオレはまだガラケー)、番号を確認する。
ディスプレイに表示されていたのは、見知らぬ番号。
もしかして?
俺は電話を耳に宛てた。
「もしもし?」
「あ、もし…もし…」
電話の向こうから聞こえてきたのは、小さいけど、確かに和子ちゃんの声で…
「え、あの、どうして?」
「だって、フランクフルト…」
あぁ、そうか。
フランクフルトに仕込んでおいた仕掛けを思い出した。
「気付いてくれたんだ?」
「…うん」
「今どこにいるの?」
「あの、神社の境内?」
「すぐ行くから待ってて?」
俺は電話を閉じると、またポケットに捻じ込んだ。
そして神社に向かって走り始めた。
途中何度かケツポケットで携帯が震えたけど、そんなの知ったこっちゃない。
俺は神社に向かって全速力で走った。
境内へと続く階段を二段飛ばしで駆け上りる。
こんな時、モデル並みに足が長くて良かった、なんて自慢じゃないが思ってしまう。
しっかしこの階段、きっついな~
階段を最後まで登り切ると、もう息も上がり、足はガクブル状態。
それでもこの先に和子ちゃんが、って思うだけで俺の胸は高鳴る。
「和子ちゅわ~ん、オレだよ~」
薄闇の中目を凝らす。
「雅…紀さ…ん?」
木の陰からひょっこり顔を出した和子ちゃんを見つけた。