第15章 祭りだ、わっしょい!
程なくして鼻血も止まり、俺は再びフランクフルトを焼くのに精を出した。
潤子たちも、いい感じで”サクラ”の役割をしてくれているようで、気が付けば屋台の前には長蛇の列ができていた。
それと並行するように、売り上げもどんどん伸びて行った。
用意してあったフランクフルトはあっという間に底をつき、残り一時間を残したところで売り切れてしまった。
「凄いじゃん、雅紀」
後片付けを始めた俺に、潤子が労いの言葉をくれる。
「いや~、潤子たちのお陰だよ。サンキューな?」
「うちら何にもしてないよ。雅紀の腕でしょ?」
そう言って潤子は浴衣の袖を捲り上げた。
ガッツポーズを決めた腕には、程よく筋肉がついてる。
「あ、そう言えば和子ちゃんは?」
辺りに和子ちゃんの姿だけがないことが、ふと気になった。
「さっきまでここにいたのに…どこへ行ってしまったのかしら?」
翔子ちゃんが顎に人差し指をチョンと宛て、小首を傾げる。
「智子ぉ~、もう眠たくなっちゃった~」
この娘は”天然”なのか?
金髪の巻き毛を指で弄りながら、大欠伸を一つした。
「おかしいわねー、どこ行ったのかしら?」
潤子が辺りをキョロキョロ見回した。
その時、俺のジーパンのケツポケットで携帯が震えた。