第15章 祭りだ、わっしょい!
焼きあがったフランクフルトを4人に一本ずつ手渡す。
「ケチャップとマスタードはセルフサービスで頼むよ?」
「智子はぁ~、マスタードだけがいいなぁ~」
見た目に似合わず、意外と辛口なのね、智子ちゃんて。
「翔子はどうすんの? アタイはケチャップとマスタード、両刀使いだけど」
オイオイ”両刀使い”って…
相変わらずだぜ、潤子よ!
「翔子、潤子ちゃんと同じでいいわ。だって潤子ちゃんのお料理、とっても美味しいんですもの」
いやいや違うから。
フランクフルト焼いたのは、オレ!
潤子は味付けしただけだから。
「和子ちゃん、だっけ? 和子ちゃんは何も付けないの?」
「えっ、あぁ…、じゃあケチャップだけにしようかな」
「よし、ちょいと貸してみな? 塗ってやっから」
オレは和子ちゃんの手からフランクフルトを受け取り、刷毛でケチャップを塗った。
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとう…」
「あ~、ずるいんだぁ、和ちゃんだけ~」
智子ちゃんが、口の周りのマスタードを舌でペロリと舐めながら文句を言う。
な、な、な、なんだ?
イケないモノを見てしまったかのような、罪悪感。
もしかして智子ちゃんて、小悪魔系なのか?
「あ、あぁ、ごめんごめん」
膨れる智子ちゃんに向かってオレは手を合わせて見せた。