第15章 祭りだ、わっしょい!
祭りが始まると、一気に辺りが賑やかになる。
あちらこちらから活気の良い声が響いてくる。
こりゃオレも負けてらんねぇな。
「へいらっしゃい、焼き立ての極太フランク如何っすか~?」
オレは声を張り上げた。
雑踏の中、大人しくしてたら客は他所へ行っちまう。
なんたって売り上げがなきゃオレの給料なんて出ないんだから。
「らっしゃいらっしゃい、アツアツで中身トロットロのフランクフルト如何っすか~?」
「ねぇねぇ、僕トロトロのフランクフルト食べた~い」
おっ、早速お客さんだ。
「おいくら?」
「一本250円です」
ほぼほぼコンビニ価格だぜ(笑)
「一本頂くわ」
「へい、毎度あり!」
オレの初めてのお客さん、オレあんたたちの顔忘れねぇからな?
ありがとよ♪
さぁ、この調子でどんどん売るぞ!
「あれ~、雅紀じゃん?」
ん?
誰よ、馴れ馴れしくオレを呼ぶのは…?
「おっ、潤子じゃん!」
潤子ってのはオレの高校時代の同級生。
コイツがまたちょっと訳ありなんだけどね?
「なに、バイト?」
「見りゃ分かんだろ? そっちこそ、そんな浴衣なんか着こんじまって、デートかよ?」
紫色にゴージャスな花柄の浴衣を着た潤子が、ショートヘアの前髪を手で撫で付けた。
う~ん、色っぽいじゃねぇか…