第15章 祭りだ、わっしょい!
テキヤの仕事ってさ、思ったよりハードなんだよね。
まず、祭りの会場、行くじゃない?
場所はもう決められてるから、そこに屋台を組んでくんだけどさ、それがけっこう重労働。
ま、俺なんて”新人です”って雰囲気で分かるらしくてさ、ちょっと強面のお兄ちゃん達が手伝ってくれたから、割とスムーズに組み立てることが出来た。
後はフランクフルト専用の焼き台をセットして、そこにプロパンガスを繋げて、と…
釣銭用の小銭も用意したし、店の看板とも言えるポップも沢山飾った。
ふぅ~、なんとか準備は完了、かな?
あとは祭りの開始を待つだけだ。
開始の時間まで約一時間。
俺は前から考えていた”ある仕掛け”を、売り物のフランクフルトに仕込んだ。
どんな仕掛けかって?
それはまだ言えないよ。
今言っちゃったらさ、それこそ楽しみ半減しちゃうじゃん?
だからさ、ちょっとだけ待っててよ?
あ、勿論全部じゃないよ?
俺にだって好みってのがあるからさ。
お目当ての”モノ”が来たら、その時がコイツの出番だ。
上手くいったら…
想像しただけでワクワクしちゃうよ。
さあ、日もいい感じに暮れてきた。
そろそろ祭りが始まる。