第14章 ♠星に願いを…
そして迎えた七夕祭り当日。
この日だけは通常の出勤時間よりも早めに園に到着する。
子供たちと一緒に飾った笹飾りを、園庭に飾るためだ。
それにしても、7月の初めとはいっても、このうだるような暑さ。
炎天下での作業に、全身の毛穴から汗が噴き出す。
「あっちぃ~」
額の汗を腕で拭う…と、その時目の前に差し出されたタオル。
「ご苦労様です、これ使ってください」
「あ、ありがとうございます」
女性保育士から受け取ったタオルで汗を拭い、首に巻き付けた。
「あの~、これもお願いできますか? 私の力じゃびくともしなくて…」
気が利くなぁ、と思ったらそういうことね?
でも俺知ってるよ?
この間園児三人抱えて園庭走り回ってたよね?
こんな時俺は思うんだ。
あぁ~、女ってめんどくせ~、ってね?
なんとか全ての笹を飾り付けた頃には、もう子供たちの登園時刻になっていた。
汗臭いシャツだけ着替え、門の前で登園してくる子供たちを出迎える。
和「あ、ちょうちぇんえちぇ~、おはようごじゃいましゅ」
「あ、和君、おはよ~。今日もきちんとご挨拶できたね」
雅「しょおせんせ、おはよ!」
「まーくん、おはよ。今日も元気だね」
潤「…おはよ…」
「潤君? おはよ、相変わらず寝起き悪そうだね」
次々と登園してくる園児と挨拶を交わしていくけど…一人足りない。
智君は…まだか…。
智「おはよ…ござます」
「うぉっ、びっくりした! はは、おはよ。まだ眠たそうだね」
さて、これで全員揃ったかな?