第14章 ♠星に願いを…
あれ?
一人たりないぞ?
「ねぇ、和君。智君は?」
和「あのね、しゃとくんはね、こっちょりかくんらって」
こっそりって…どこにも見当たらないけど?
雅「せんせ~、さとくんあんなとこにいるよ~」
どこよ?
…って、トイレの中かよ…
「え、ちょっと智君? なんでこんなところで?」
智「だってオイラ、じ、かけないもん」
そっか…
でもだからってトイレに引きこもらなくても…
「じゃあ、先生と一緒に書こうか、ね?」
智「…いい。オイラひとりでかきたいもん」
分からんでもないが…
どうにかしてここからは出さねば…
「よし、分かった。じゃあ、智君が得意な”絵”で書いたらいいんじゃない?」
キョトンとした顔をする智君。
「それなら出来るでしょ?」
智「うん、お絵かきする」
よし、問題解決。
それぞれ短冊を書き終えると、今度は折り紙で飾りを作っていく。
この作業は手先の器用な智君と和君の得意分野。
スイカやら星やら、次々作り上げていく。
それに比べて…
「潤君、ちゃんと作り方見てね?」
潤「見てるよ、ほら?」
自信満々なのが可愛いんだけどさ、それは一体何?
「まーくんはどうかな?」
雅「オレね~、ぎょーざつくってんの」
七夕飾りに”餃子”って聞いたことないけど…ま、いっか…。
「そ、そう、美味しそうにできてる…ね?」
そんなこんなで漸く出来上がった飾りをみんなで笹に括って、後は当日庭に飾るだけだ。