第14章 ♠星に願いを…
俺は櫻井翔。
幼稚園の先生をしている。
園児には、“翔先生”なんて呼ばれているが、正直ちょっとばかりむず痒くもある。
俺の職場「ARS幼稚園」では、毎年この時期になると七夕飾りを園児と一緒に作るのが恒例になっている。
今年も漏れなくそのイベントはやって来る訳で…
俺は園児達の為に、短冊やら折り紙やらの準備にてんてこ舞い。
笹の調達だって、女性ばかりの職場じゃあ、男の俺の役目。
ま、大変ではあるけど、子供達の笑顔がみれるなら、それはそれで良しとしようじゃないか。
子供たちもこの、年に一度のイベントを楽しみにしているし。
その証拠に、
「さぁ、みんな~、今日は笹に飾る短冊に、願い事を書きますよ~」
俺が声をかけると、子供たちは我先にと、思い思いの短冊を手に取っていく。
「みんな、ちゃんと椅子にお座りして書くんだよ? いいかな?」
『は~い!』
元気に手を上げる子供たち。
机の上に短冊を置き、たどたどしいながらも、一文字ずつマジックで一生懸命書いていく。
「どれどれ、和君はどんな願い事を書くのかな?」
和「だ~め、かじゅくんのひみちゅです」
あらら、隠しちゃったよ…
んじゃ、お隣の…
「ま~くんは、どうかな?」
雅「オレはねぇ~、いっぱいあるからね~、はみでちゃったの…」
あ、そうなの?
「もう一枚書いてもいいよ?」
潤「あ、ずるいんだ~! おれももいっこかく~」
やれやれ、これじゃあ短冊だけで笹がいっぱいになっちゃいそうだ…