第13章 オイラは売れっ子カメラマン
カメラマン大野side
初めて飲んだよ、オイラ…
だって二宮くんが口、塞ぐもんだからさ…
仕方なく、だよ?
正直、あんまり旨いモンでもない。
でもさ、
「大野さん、僕の…美味しかった?」
なんてニッコリ笑って聞かれるから、つい
「うん、旨かったよ…?」
なんて応えちまった。
そしたらさ、耳まで真っ赤にした顔を、両手で隠してしまった。
「ど、どうした?」
聞いても首を横に振るだけで、応えようとはしない。
「ひょっとして、急に恥ずかしくなっちゃった、とか…?」
ブンブンと首を縦に振る。
ビンゴか…
「…ったく、困った子だね? あんね、こんなにしてくれた責任は、ちゃんととってね?」
オイラは驚いて顔を上げた二宮くんを抱き上げ、撮影セット用のソファまで運ぶと、そっと降ろした。
「お、大野さ…ん…?」
怯えてるのか、二宮くんの瞳が忙しなく揺れる。
「ふふ、何にもしやしないよ? だから、自分でする
トコ、撮らせて?」
実は怯えてんのは、俺の方。
あのまま二宮くんに身を任せるの、ちょっと怖かったんだよね…
なんせ“初めて”だから?
そりゃ怖いっしょ?
「ダメ、かな?」
再度聞いてみる。
「…いい…よ?」
よっしゃー!
オイラは心の中で、盛大なガッツポーズをしてみせた。