第13章 オイラは売れっ子カメラマン
モデル二宮side
僕に次々と指示を出しながら、ファインダーを覗く大野さんの頬を汗が伝う。
あ、カッコいいかも…
なんだろう、この気持ち…
これじゃあまるで、恋してるみたいじゃないか…
「目線、コッチね」
僕はレンズ越しに、大野さんに向けて熱い視線を送った。
「少し休憩しようか」
僕は大野さんが用意してくれた椅子に腰を降ろした。
ジュースを僕の手に握らせ、額の汗を優しく拭ってくれる。
だめだ…
もうドキドキが止まらない。
「ありがとうございます」
僕は精一杯の笑顔を作って見せた。
「え、ああ、うん…」
急にしどろもどろになる大野さん。
僕、変だったかな?
途端に不安になる僕の頬を、大野さんの両手が挟んだ。
どうしていいのか分からずにいる僕は、少しずつ縮まる距離に、そっと瞼を伏せた。
その瞬間僕の唇にチュッと触れた柔らかい感触。
そして鼻先を掠めたフワフワした大野さんの前髪。
「ごめん。あんまり二宮くんが可愛いから、つい…」
照れた様子で視線を逸らす大野さんの手を、僕の手が掴んだ。
「僕、嬉しい…です。だから、謝らないで?」
だからもっと…
今度は僕の方から大野さんにキスをした。