第13章 オイラは売れっ子カメラマン
カメラマン大野side
スクリーンの前に組まれたセットを前に、視線をキョロキョロと泳がせる二宮くん。
「んじゃまず、身体の向きはそのままで、足肩幅に開いて? …そう、手は腰ね?」
オイラの指示通り、二宮くんがポーズを作っていく。
それに合わせてオイラはシャッターを切る。
「いいよ、上手だよ。あ、目線コッチね?」
戸惑いがちにカメラに向けられた視線に、オイラの胸がドキンと大きく脈打った。
なんだコレ…?
今まで何人ものモデル撮ってきたけど、こんなの初めてだ…
オイラは二宮くんに指示を出しながら、無心でシャッターを切った。
それこそ時間も忘れて。
それくらいカメラの前に立つ二宮くんは魅力的だった。
「ちょっと休憩しようか?」
そう声をかけた時には、撮影を始めてから優に1時間は過ぎていた。
流石に二宮くんの表情にも疲れが隠せなくなっていた。
「ごめんね、オイラ夢中になると時間忘れちゃうんだ…」
二宮くんの手にジュースのペットボトルを握らせ、額に薄っすらと滲んだ汗をティッシュで拭いてやった。
「ありがとうございます。でも、僕も楽しくて…」
そう言って二宮くんがフワット微笑む。
ドキン…
またオイラの胸が高鳴った。